お金を貯めるためには“正しい方法”で貯金に取り組む必要があります。正しい方法で取り組めば必要以上に貯金や節約を意識しなくてもお金は貯まっていきます。
正しい方法でお金を貯めれば収入の低さはあまり関係ありません。
中には手取り月収20万円で貯蓄総額1,000万円以上という人もいます。では低収入でも無理なくお金を貯めるには具体的にどんなポイントを心がければいいのか?
お金を貯めるためのコツとして大事なのは次の6つです。
目次
お金を貯める“目的”を決める

お金を貯める目的をハッキリさせると貯金に対するモチベーションも長く保てます。具体的な“お金の貯め方”を考える前にまずは
というゴールを作ってみてください。
お金を貯めるための目的については自分が納得できるものであればなんでもかまいません。
お金を貯める目標の立て方
お金を貯めるための目標を立て方は人によって違います。実際に上手に貯金ができている人達はお金を貯める目標を次のように立てました。
「100万円」などキリの良い金額
キリがいい数字を目標にすれば簡単に決めやすいですし“とりあえず”で貯金を始められるのでおすすめです。
と感じたら50万円でもいいです。お金が貯め切れそうな金額でキリがよければいくらでもかまいません。
生活費の3ヶ月分
今の生活費の3ヶ月分を貯金の目標金額にして貯金を始めるのもアリです。例えば
- 現在の生活費が15万円であれば目標貯金額は45万円
- 現在の生活費が20万円であれば目標貯金額は60万円
…となります。
3ヶ月分の生活費を貯金の目標にするを勧めるのは万が一職を失って収入がゼロになっても新しい職を探すまでの生活費にできるから。
退職して失業保険を申請すると給付されるまで最大3ヶ月の給付制限があります。4ヶ月目以降は失業保険がもらえるのでそれまでの生活費を貯金で作るために貯金を始める…というわけです。
同年代の貯金額の“平均値”か“中央値”を参考
自分と同じ年代の人達の貯金額を調べて“平均値”や“中央値”を目標金額にするのもアリです。
各年代の貯蓄額は金融広報中央委員会が発表している『家計の金融行動に関する世論調査(2019年)』に載っています。具体的な貯蓄の平均値と中央値は以下の通りです。
年代別 | 平均値 | 中央値 |
20歳代 | 165万円 | 71万円 |
30歳代 | 529万円 | 240万円 |
40歳代 | 694万円 | 365万円 |
50歳代 | 1,194万円 | 600万円 |
60歳代 | 1,635万円 | 650万円 |
70歳以上 | 1,314万円 | 460万円 |
固定値とは?
中央値とはデータを小さい順(または大きい順)に並べた時に中央に来る値を指します。例えば
50万円、75万円、100万円、110万円、125万円、200万円、1,000万円
というデータがあった場合、上記データの中央値は真ん中にある『110万円』となります。一部のかけ離れた数値(上記のデータだと1,000万円)の影響がないため特定の地域の生活水準や年収を調べる際には平均値よりも中央値で判断する場合もあります。
平均値は極端に貯蓄額が高い人がいるとその影響によって平均値が底上げされます。目標が高いとかえってモチベーションが上がらない人は平均値ではなく中央値を目標にして貯金を始めてみてください。
欲しいものや買いたいものの値段
現在欲しいものや買いたいものがあるのなら、その金額をそのまま貯金の目標にして貯金を始めましょう。
マイナビが実施した独身社会人の貯金に関するアンケートで「貯金をする目的は?」の回答でも「将来家を買うため」や結婚式」といったハッキリとしたお金の使い道があってお金を貯めている人もいます。
第1位「老後のため」34人(27.6%)
第2位「将来病気などで働けなくなったときのため」16人(13.0%)
第3位「将来家を買うため」11人(8.9%)
第4位「使い道がないから」9人(7.3%)
第5位「結婚資金」6人(4.9%)
マイナビ学生の窓口調べ
調査期間:2017年5月
調査人数:独身社会人男女123人
お金が“自然に”貯まる仕組みを作る

貯金を始めるならできるだけ手間や負担がかからず自然にお金が貯まっていく仕組みを考えて取り組みましょう。中でも『先取り貯蓄』は自然にお金が増えていく方法としてオススメです。
先取り貯蓄の仕組みを作るのはとても簡単です。先取り貯蓄を始める上で押さえるべきポイントは次の3つです。
お金を貯める口座を開設
先取り貯蓄の第一歩は貯めたお金を保管する専用口座の開設です。
生活費が引き落とされる口座に貯金も一緒に入れておくと貯金と生活費がゴチャゴチャになってしまい、間違って貯金を使ってしまう危険もあります。貯金を誤って使わないように貯金は貯金で専用口座を開設してその口座で保管するようにしましょう。
毎月貯めるお金は固定
毎月貯金に回すお金は同じにして変えないようにしましょう。
例えば
…と決めたら何があっても2万円は貯金に回します。毎月貯めるお金を決めておけば
手取り月収-貯金分=生活費
となり、生活費の使い道が分かりやすくなるからです。また毎月貯めるお金を同じにすると「給料が入ったら2万円は貯金用口座に移す」というが習慣になり、貯金が長続きします。
貯金に回す金額はいくらがいい?
先取り貯蓄をするにあたっての毎月の貯金額は手取り月収の10~15%がベストと言われています。
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(令和元年)」で発表されている単体世帯、二人以上世帯の手取り収入における貯蓄の割合は10~15%が最も多い結果になりました。
給料に対する貯蓄割合 | 単体世帯 | 二人以上世帯 |
5%未満 | 5.8% | 8.1% |
5~10% | 11.2% | 15.1% |
10~15% | 15.2% | 18.9% |
15~20% | 4.1% | 4.7% |
20~25% | 8.5% | 7.0% |
25~30% | 2.3% | 1.3% |
30~35% | 6.8% | 2.7% |
35%以上 | 9.5% | 2.5% |
貯蓄しなかった | 36.6% | 32.6% |
もちろん生活が苦しくならないのなら手取り月収の20%まで貯金額を引き上げても大丈夫です。毎月貯金に回すお金は“無理のない”程度におさめましょう。
給料が入ったらすぐに貯金を移す
給料が口座に振り込まれたら、まずは貯金に回す分のお金を引き出してお金を貯める専用口座に移しましょう。例えば手取り月収20万円の人が
…と決意した場合、先取り貯蓄の具体的な行動は以下になります。
- 給料が入ったら貯金する分(2万円)を引き出す
- 貯金専用口座に2万円預ける
- 残った18万円で1ヶ月やりくりする
特に3.については全額生活費に使ってもいいですし、頑張って節約してお金を余らせたのであれば余ったお金を自由に使ってもかまいません。
貯金専用口座に自動でお金を移せる方法
銀行によってはお金を先取り貯蓄で貯めるのにピッタリの口座が作れるところもあります。また勤めている企業によっては先取り貯蓄に最適な制度が利用できるところもあります。
具体的には
- 自動積立制度
- 財形貯蓄制度
といったものです。自動積立制度と財形貯蓄制度の詳細は下記ページで紹介しているので興味があればぜひ参考にしてください。
生活費を見直して貯めるお金を作る

日々の生活費やお金の使い方を振り返り、無駄遣いなどを減らして貯金に回せるお金を作りましょう。そのためには自身の「家計の使い道」を把握するのが大切。
家計の収支を調べるには家計簿をつけるのが最も確実です。
家計簿のつけ方については下記ページで解説しているのでそちらを参考にしてください。
家計は“支出の割合”で見直す
家計簿をつけたら「何にどのくらいお金を使っているのか?」を調べてください。
家計再生コンサルタントの横山光昭さんはZaiONLINEのコラムで理想の支出割合を紹介しています。生活費の理想の支出割合は以下の通りです。
支出項目 | 一人暮らし | 夫婦 | 夫婦+子供 (小学生以下) |
夫婦+子供 (中学・高校) |
食費 | 18% | 15% | 14% | 15% |
住居費 | 28% | 25% | 25% | 25% |
光熱費 | 6% | 5% | 6% | 6% |
通信費 | 6% | 6% | 5% | 6% |
保険料 | 4% | 4% | 6% | 6% |
趣味・娯楽費 | 4% | 3% | 2% | 2% |
被服費 | 3% | 3% | 3% | 3% |
交際費 | 5% | 2% | 2% | 2% |
日用雑貨 | 3% | 2% | 2% | 2% |
その他 | 6% | 3% | 3% | 3% |
こづかい | - | 12% | 10% | 10% |
教育費 | - | - | 10% | 12% |
貯蓄 | 17% | 20% | 12% | 8% |
引用:ZaiONLINE『「理想的な支出の割合」を知ってしっかり貯蓄できる家計になろう!』
上の数字はあくまでも目安ではありますが、自身の家計簿と比べてあまりにも支出割合が高いものがあればその支出に“無駄遣い”が隠れている可能性が高いです。
節約の基本は『無駄遣いを減らす』です。
上の表とご自身の家計の支出割合を比べて節約するところの順番を決めてから生活費の節約に取り組みましょう。
各支出の節約のポイントについては以下の表にまとめました。
支出項目 | 節約のポイント |
食費 |
|
住居費 |
|
光熱費 |
|
通信費 |
|
保険料 |
|
被服費 日用雑貨 |
|
交際費 趣味・娯楽費 |
|
教育費 |
|
ストレスが溜まらない方法でお金を貯める

お金を貯める際に最も注意すべきは「ストレス」です。ストレスが溜まるとせっかく貯めたお金を散財してしまうため、貯金はストレスが溜まらない方法で取り組むようにしましょう。
実際にコツコツお金を貯めている人達はストレスが溜まらない工夫を取り入れています。具体的には次のようなポイントを心がけて貯金に励んでいるのでぜひ参考にしてください。
自由に使えるお金を用意する
生活費の内訳を考える時に「自由に使えるお金」もきちんと取っておきましょう。例えば趣味を楽しむためのお金や友人と遊びに行くお金…とか。
貯金のために「使ってはいけない」と考えると心が苦しくなったり思うようにお金が使えずイライラしてしまいます。手取り月収の2~5%を目安に好きに使えるお金を用意しておくと貯金や節約のストレスも溜まりにくくなります。
生活費は1ヶ月で全額使い切る
先取り貯蓄をして貯めておく分のお金を移動すれば、残ったお金は全て生活費として使えます。例えば食費を頑張って3,000円節約したのなら
…といって好きな物を買っても問題ありません。3,000円を無駄遣いしても食費は予算内に収まっていますから貯金には何の影響もないからです。
使える金額をいっぱいまで使えた方が無理に節約するよりもストレスはかかりません。正しい予算を組んできれいサッパリ使い切るためのやりくりを考えようにしましょう。
「やったつもり貯金」をする
やったつもり貯金とはぴあ株式会社が運営している情報サイト『mimot(ミモット)』で紹介された方法で「買ったつもり」「使ったつもり」になって貯金箱にお金を入れる貯金の方法です。
やり方は簡単です。たとえば、誘われていた飲み会に行ったつもりになって、その飲み会代4000円を貯金箱へ、ほしいと思っていた洋服を買ったつもりになって、その洋服代6000円を貯金箱へ入れるだけ。
飲み会に行ったら手放していたであろう4000円は、あなたの将来に役立つお金になります。ほしかった服を買ったら失っていた6000円は、将来のあなたが必要とする6000円になりますよね。
やったつもり貯金を続けていると、お金について考える機会が生まれます。確かにいつも楽しい飲み会だけれど、4000円の価値があるかな、確かにほしい洋服だけれど、6000円の価値を提供してくれるかな、と立ち止まって考えるようになれば儲け物。
我慢しすぎはよくないですが、そういう感覚を身に着けることで、自分にとって本当に必要なこと・不要なことの見分けがつくようになり、お金が貯まっていく快感を味わえるはず。
一度、快感を知ったら、ストレスなくお金は貯まっていくはずです
つもり貯金は特に衝動買いが多い人におすすめ。「衝動買いしたい」という欲求をつもり貯金で発散できるうえに衝動買いに使うお金を抑えられるので一石二鳥です。
アプリを使ってお金を貯める
近年マネーフォワードなど家計簿をつけられるアプリがありますが「お金を貯める」のに特化したアプリもあります。中でも有名なのがFinbee(フィンビー)というアプリです。

Finbeeはクレジットカードの端数を貯金に回したり、毎月自動でつみたて貯金をしてくれるアプリです。また「歩数貯金」と言って歩いた歩数に応じて貯金に回す金額が決まるというちょっと変わったお金の貯め方もあります。
Finbeeの最大のメリットはお金の管理をしなくても自動で貯金ができる点です。
Finbeeと提携している銀行の口座を開設し、クレジットカードと連動させると自動でクレジットカードから設定した銀行口座にお金が送金されます。そのため貯金を意識しなくても自然とお金が貯まっていきます。
Finbeeでできるお金の貯め方は4つあります。
機能 | 詳細 |
おつり貯金 | カード決済の時に100円単位以下のおつりを貯金に回す 例)2,450円の商品をクレジットカードで買う場合3,000円支払って端数(550円)が貯金にまわる |
つみたて貯金 | 指定した曜日や日付に設定した金額を貯金に回す |
歩数貯金 | 設定で決めた歩数を歩いたら貯金に回す 例)1日1万歩歩いたら1,000円貯金 |
シェア貯金 | 家族やカップルなど複数の人と一緒にできる貯金 |
お金の計算を面倒に感じる人や持っているお金をすぐに使ってしまう人はFinbeeなどのプリを使って貯金を始めてみてください。
短期でお金を貯めるなら「収入アップ」

貯金はコツコツと気長に取り組むのが基本ですが、短期間で一気に目標金額まで貯め切りたいのであれば収入がアップする行動が求められます。
具体的には「副業」「お小遣い稼ぎ」「資産運用」があります。
副業で収入アップ
最も短期的にまとまった収入が得られやすいのが副業です。
株式会社パーソル総合研究所が2018年に調べた副業調査によると
副業に取り組んでいる正社員は10.9%
副業意欲がある正社員は41.0%
調査対象:20~59歳の男女13,958人
引用:PR TIMES『パーソル総合研究所、副業実態・意識調査結果【個人編】を公表 加速する副業。正社員の 10.9%が副業実施中、1年以内の開始 41.3%
…という結果が出ました。つまり正社員の2人に1人は副業に対して興味があり、10人に1人は既に副業をしているのが現状です。
副業については色々なやり方があります。サラリーマンなど正社員でもできる副業については下記ページで紹介していますのでそちらを参考にしてください。
お小遣い稼ぎで収入アップ
収入アップの方法として「お小遣い稼ぎ」があります。具体的にはポイントサイトなどを使って収入を得る方法を指します。
ポイントサイトは各サイトに登録してポイントを貯めると、ポイントに応じた金額もしくは電子マネーと交換できます。時間も1回5分くらいで終わりますし時間も縛られずお金を失うリスクもないため、収入があまりない学生や主婦に取り組んでいる人が多い傾向があります。
1万円以上得るにはかなり時間がかかりますが、ノーリスクでできるのがお小遣い稼ぎの最大のメリットです。ポイントサイトの活用法については下記ページを参考にしてください。
資産運用で収入アップ
現在あるお金を運用してお金を増やして収入を上げる資産運用も収入アップの方法としておすすめです。失敗すると資産(お金)を失うリスクはありますが、正しく取り組めば給料以上の収入を得られるのも夢ではありません。
近年ではつみたてNISAやiDeCoといった初心者でも取り組める資産運用商品が販売されています。また株式投資や外国為替取引(FX)もインターネットで簡単に取引できます。
資産運用を始めるなら元手が必要なため副業やお小遣い稼ぎほど気楽に始められません。また金融の勉強も必要になってくるので資産運用に興味があるならしっかり勉強と準備をしてから始めましょう。
つみたてNISAとは?
毎月一定金額の資産を口座につみたて、つみたてた資産で資産運用を行える制度。つみたてNISAで得られた運用益には税金がかからない。また運用先も国から認定を受けた金融商品でしか運用できないため他の資産運用に比べて安全性が高い
iDeCo(イデコ)とは?
毎月決まった金額を先行口座につみたてて60歳になったら個人年金として受け取れる制度。iDeCoに積み立てるお金については税金の控除対象となる。またiDeCoの口座にあるお金を使って資産運用もできる(運用益は非課税)
まとめ
お金を貯めるにはお金の使い方を改善したり節約して支出を抑えたりする必要があります。
しかし実は貯金はそこまで難しいものではありません。
きちんと貯金のポイントを押さえて取り組めばたとえ低収入であっても無理なくコツコツお金を貯められます。もし
…と悩んでいるのであれば、まずはしっかりと「お金を貯めるためのコツ」を掴むことを意識して貯金に取り組んでみてください。