家計管理

家計の赤字をつくらないためのお手軽「やりくり」術

生活するうえで家計のやりくりはとても重要です。貯金や節約が上手にできている人は家計のやりくりのコツを知っており、赤字を出さないよううまく収支を調整しています。

では家計のやりくりのコツとは具体的にどんなものなのか?

別に「簿記の知識が必要」とか「数字に強くないといけない」といったことではありません。少し考え方を変えるだけで意外とお手軽に家計がやりくりできるようになります。

家計のやりくりのコツは「収入を全額使う」

『家計のやりくり』と聞くと

いかに支出を減らして貯金に回すお金をねん出するか?

・・・とイメージする人がいると思います。確かにこれも家計をやりくりするうえで大事な考え方ではあるのですが、やりくり上手な人達は少し発想が違います。

家計のやりくりが上手な人達は

入ってきた収入(給料)を何にいくら使うか?

を考えます。極端な言い方をすればその月に入ってきた収入はすべて何らかの使い道を決めて使い切ってしまおう・・・という考え方を持っているのです。

この時、以下のポイントを押さえておくのがポイントです。

収入が入ったら「貯めるお金」を移す

家計のやりくりが上手な人は「先取り貯金」で考えています。

先取り貯金とは収入が入ったらまず貯金に回すお金を真っ先に別の口座に移します。先に貯金に回す額を移動させておけば、残ったお金を全額使い切っても貯金は残る・・・ということ。

分かりやすく言うと貯金も“支出”の一部として考えているのです。

この時大事なのは貯金に回す金額の設定です。あまり貯金に回す額が大きすぎるとやりくりが大変になってしまうため、収入に見合った額を貯金に回す額にするのが大切。

目安としては収入の2割以下に抑えておくと、家計のやりくりもそこまで難しく考えることなくできるでしょう。

固定費以外のお金を全額おろす

家計の支出の中には現金で支払うものもあれば銀行口座から引き落としされて支払うものがあります。後者に該当するのは家賃や保険料などのいわゆる「固定費」がほとんどです。

家計のやりくりが上手になりたいのであれば、最初は現金で管理するのが一番です。そのため、銀行から引き落としされる支払い額以外は全額口座から引き出しましょう。

各支出にいくら使うか?を計画する

固定費を除いた全額を口座から引き出したらお金の使い道を振り分けます。貯金はあらかじめ別の口座に移してありますから“貯金用”のお金を作る必要はなく、全額支出に使いきってしまっても大丈夫。

また支出の振り分けは細かく決める必要はありません。項目も『食費』『光熱費』『遊ぶお金』など大枠で考えた方が管理がしやすいのであまり項目を細かくせずざっくりと計画しましょう。

“余剰金”も考えておくとベスト

お金の使い道を考えるうえで大切なのは“自由に使えるお金”もある程度予算として考えておくことです。例えば遊びに行く予定がなくても「遊ぶお金」を予算として確保しておけば急なお誘いがあってもお金を理由に断らなくて済みますよね?

また急にお金が必要になる時(冠婚葬祭など)が来たり、ついつい無駄遣いしてしまった時でも余剰金を作っておけばやりくりの計画を大きく変更しなくてもよくなります。余剰金は貯金や固定費を差し引いた残金の1割くらいを考えておくといいでしょう。

世帯別に見た1ヶ月の収支とやりくりポイント

家計のやりくりのコツには万人に共通する点と共通しない点があります。なぜなら家計の収支は家族構成によって変わってくるからです。

家族構成が変われば当然収入も支出も変わります。特に支出は結婚の有無、子供の有無で必要な支出が大きく変わるので、各家庭に見合ったやりくり術を実践しないといけません。

そこで

一人暮らしの場合
結婚2人暮らしの場合
結婚+子供1人の場合

の1ヶ月の収支と具体的なやりくりのコツを簡単に紹介します。

一人暮らしの人の収支

生活費内訳 金額
手取り収入 20.0万円
食費 3.6万円
住居費 5.6万円
水道光熱費 1.2万円
通信費 1.2万円
保険料 0.8万円
交際費 1.4万円
趣味・娯楽費 0.8万円
その他 2.0万円
貯蓄 3.0万円

参考:60歳までに貯蓄3000万円

一人暮らしの人が家計のやりくりで最も考えるべきポイントは『毎月貯金に回す金額』です。特にまだ収入が多くない20代や学生の場合だと貯金の割合を多くすると生活費がやりくりできなくなるので、収入が増えるまでは貯金に回す額は少なめでも大丈夫です。

貯金の割合は収入に対して1.5割~2割くらいがベスト。下記ページで解説しているように20万円であれば3万円は貯金に回せると思います。

また唯一といってもいい家賃が高すぎると貯金まで回らなくなります。特に家賃の割合が収入の3割以上の場合はもっと安いところに引っ越した方がいいでしょう。

夫婦2人暮らし家庭の収支

生活費内訳 金額
手取り収入 30.0万円
食費 4.5万円
住居費 7.5万円
水道光熱費 1.5万円
通信費 1.8万円
保険料 1.2万円
交際費 0.6万円
趣味・娯楽費 0.9万円
小遣い(夫婦計) 3.6万円
その他 2.4万円
貯蓄 6.0万円

参考:60歳までに貯蓄3000万円

結婚2人暮らしの場合、共稼ぎか専業主婦(主夫)かによって収入が変わります。将来子供が欲しいと考えているのであれば共稼ぎをして収入を上げ、貯金に回せる金額を増やした方がいいでしょう。

人生の中で結婚して子供がいない時がもっとも貯金ができる時期と言われています。散財が多くなると今後の生活が大変になる危険性があるので貯金の割合を多くして今後に備えることをお勧めします。

新婚生活の生活費をやりくりするコツについては別のページで詳しく紹介していますのでそちらを参考にしてください。

夫婦+子供1人家庭の収支

生活費内訳 金額
手取り収入 25.0万円
食費 3.5万円
住居費 6.2万円
水道光熱費 1.5万円
通信費 1.2万円
保険料 1.5万円
交際費 0.5万円
趣味・娯楽費 0.5万円
小遣い(夫婦計) 2.5万円
教育費 2.5万円
その他 2.0万円
貯蓄 3.0万円

参考:60歳までに貯蓄3000万円

子供が生まれて手がかからなくなるまでは、共働きができなくなりますから収入が下がります。もちろん子供が増えることで支出も増えますから貯金が難しい時期と言えるでしょう。

つまり毎月貯金をするためには“家計の節約”が重要になってきます。食費や光熱費はもちろん、住宅費(家賃や住宅ローン)や保険料など見直すべき項目を1つずつチェックしていき、確実に支出を抑えられるよう家族で協力してやりくりしてください。

特に新居は子供が生まれてすぐ考えるよりも、ある程度大きくなってからでも間に合います。子供部屋が必要になるまでは急いで引っ越す必要はありません。

赤字を作らない具体的な家計のやりくり術

これまで家計をやりくりするコツとして世帯別の方法や前提とした考え方について紹介してきました。もちろん誰にでも当てはまる“共通のポイント”もあります。

特に次の3つはやりくりが上手な人が必ず実践していることでもあるので、これからやりくりをしていくうえで意識してみてください。

無駄遣いを減らすところから始める

家計をやりくりするうえで最も大切なのは何といっても支出を減らすこと。しかし、必要な支出を無理やり抑えようとすると生活に支障が出るリスクがあります。

それに普段の支出の中には必ず“無駄遣い”があります。まずはこの無駄遣いをなくすところから始めましょう。

例えば

・賞味期限を切らしてしまった食材
・電源のつけっぱなし
・水の蛇口の閉め忘れ
・買ったのに1回も来ていない服

などなど。無駄遣いをなくす具体的な行動については下記ページで紹介していますのでそちらを参考にして無駄遣いを減らしていきましょう。

家計簿をつける

家計をやりくりするのであれば家計簿は必ずつけましょう。何にいくら使ったのか?を記録することで、自分のお金の使い方を見直せますし、そこから反省点を見つけて次につなげればどんどんやりくり上手になれます。

「でも家計簿をつけるのが苦手」という人は、ぜひ下記ページを参照してください。キッチリしてなくてもきちんと収支が分かる家計簿のつけ方を紹介しています。

使えるお金の内訳を「週間」で考える

やりくり上手の人は週間や10日間など一定の期間に分けて使えるお金を考えています。例えば食費を月3万円で予算した場合

「10日間で1万円使おう」

という風に考えます。このように一定期間で使えるお金を振り分けて考えておけば、万が一使いすぎたりしても後々で調整が効くからです。

例えば「食費を1日1000円で」と考えると選択肢はかなり狭くなりますよね?また1日単位で予算を立てるとどうしてもお金の使い方が細かくなってしまい、考えるだけで疲れてしまいます。

家計のやりくりのコツは「ある程度ざっくり」です。深く考えすぎずゆとりをもってお金の使い道を考えると成功する可能性も高くなるでしょう。

家計のやりくりが苦手な人向けの対策

家計のやりくりの具体的な方法として

・無駄遣いから減らす
・家計簿をつける
・「週間」でお金の使い道を考える

を紹介しました。これらの方法を実践すれば家計のやりくりはきっと上手になるでしょう。

ただ、人によってはどうしてもやりくりができない人も少なからずいると思います。家計のやりくりや節約や貯金に苦手意識がついてしまったりすると実践するまでの腰が重くなりがちですからね。

そんな家計のやりくりが苦手な人におすすめの行動を4つ紹介します。

収入を増やすことを考える

極論を言えば収入よりも支出が上回れば家計は赤字になります。そうならないように支出を減らすのが節約であり、節約するための行動が“やりくり”なのですが、やりくりが苦手だというのであれば節約による支出削減は期待できません。

ならばいっそ収入を増やす方に考え方を変えてみてください。収入が増えればその分支出できる額も増えますから、やりくりの必要性も多少は和らぎます。

ただし、収入を増やすのは決して容易ではありません。

勤めている会社の給料を上げるのも、副業などを始めるにもある程度時間や勉強が必要になります。収入を増やすのであれば短期間で結果を求めず、長期的な視野で取り組むことをおすすめします。

お金についての勉強を始める

家計のやりくりが苦手な人の特徴の1つに「お金の知識が乏しい」があります。そもそもお金については学校で教えてくれませんから自分でお金を使いながら学ばないといけないため、どうしても人によって知識のばらつきが出てしまいます。

近年は書籍や雑誌でもお金についての情報が掲載されていますし、インターネット上でマネースクールやマネーセミナーの募集もあります。こうしたお金について一から勉強すると自分なりの家計のやりくりのコツをつかめるきっかけにもなるので、時間を作ってお金について勉強してみてください。

お勧めは「お金の教養講座
お金の教養講座

毎月3000名以上が参加しているマネーセミナーで参加費も無料ですから、気軽に参加できます。家計簿のつけ方や自然とお金が貯まる方法など、家計を上手にやりくりするためのコツを教えてもらえますから、節約や貯金がなかなかできないのであれば一度参加してやりくりのコツを学ぶところから始めてみてください。

自分が実際にお金の教養講座に参加した時の感想は下記ページにまとめてあります。メリットだけでなくデメリットや参加するうえでの注意点も紹介しているのでこちらも併せてチェックしてください。

お金の教養講座に参加した感想

FPに相談する

FP(ファイナンシャルプランナー)とはお金についてアドバイスできる家計のプロのこと。FPから家計のアドバイスを受けることで上手なやりくりの方法を教えてもらえます。

家計簿をつけて収支をチェックしても実際にその支出が多いのか?少ないのか?を判断するのはやはり難しいのが現状です。そこをお金のプロであるFPにチェックしてもらえば、正確に家計の節約が可能になります。

もし自分の家計の収支を見てどこからやりくりすればいいのか?が分からないのであればFPに相談してみてはいかがでしょう。

無料でFPに家計の相談をする方法

FPに家計の相談をするにあたって大きなデメリットが1つあります。それはFPに相談すると相談料がかかる・・・という点。

ですが「保険の見直し」という口実であればFPに無料で家計の相談ができます。

近年保険相談窓口はたくさん増えており、中には自宅や勤務先まで出張してくれるところもあります。この時保険相談に乗ってくれる人はFPが多く、保険の見直しと併せて家計の収支チェックややりくりのアドバイスもしてくれたりします。

ただし保険相談サービス会社によってはFPの相談が有料だったり、派遣されるFPの態度が悪いところもあります。下記ページでインターネット上で評判のいい保険相談サービス(無料)をまとめていますのでFPにアドバイスを求めるのであればこちらのいずれかを利用してください。

まとめ

家計をやりくりするコツは決して細かさや正確性が必要なわけではありません。むしろここで紹介したポイントさえ押さえておけば誰でもコツはつかめると思います。

赤字を作らず毎月コツコツ貯金を作るためには、やはり家計の上手なやりくりは大切です。ここで紹介した内容をもとに自分にとってベストなやりくり術を模索し、実践してください。